研究概要

ソフトロボティクス × AI

コンピューターの情報処理能力が飛躍的に向上し、大規模言語モデルや実世界シミュレーションを使った強化学習、模倣に基づく学習などの技術が急速に進歩しています。 これらの技術により、これまで非常に難しかったロボットの行動生成が、直接プログラムを書かなくても可能になりつつあります。 その結果、人手による制御や調整の負担は大きく減り、さまざまな場所でロボットを活用する道が開き始めています。

しかし、その一方で、これらのAI手法には大きな計算資源と電力、そして膨大な学習データが必要であり、巨大な計算機環境を使った学習が欠かせません。 言い換えると「とても強力だが、とてもコストが高い」技術でもあります。

生物の世界を見てみると、状況は大きく異なります。生物は、エネルギーや計算資源(脳)が限られているにもかかわらず、環境に合わせて動きを学び取り、短い時間で適応することができます。 この優れた学習・適応能力は、柔らかい身体が持つ「形態学的計算(=身体性)」によって支えられていると考えられます。

プロジェクトRAISE「ソフト身体性により生成される実世界適応知能」では、この生物の仕組みに学び、柔らかい身体の特性を積極的にAIと結びつけることで、生物のように実世界でその場で学び、適応し続けるロボットの実現を目指します。 高性能なAIと、柔らかい身体による「賢さ」を融合させることで、ロボットが実環境でより長く、しなやかに、そして安全に活躍できる未来を拓いていきます。

2025年10月吉日
細田 耕(京都大学 大学院工学研究科 教授)

プロジェクト情報

国立研究開発法人 科学技術振興機構 (JST)
戦略的創造研究推進事業 CREST
研究領域「実環境知能システムを実現する基礎理論と基盤技術の創出

研究課題「ソフト身体性により生成される実世界適応知能」
(2025-2030年度,グラント番号:JPMJCR2555)